Smile!


LOVE MORE(R18)

明け方、私はまるっきり自分が裸なのに気が付いて驚いた。
「やだ、昨日あれから寝てしまったんだ」
初めての体験をし、聡彦があり得ないほど優しかった事だけは記憶している。
何と言うか…別人のようだった。
隣でスヤスヤ眠っている聡彦も裸で、私の手をギュッと握っていた。
今日は土曜日だし…このままでいいか。
私はクスッと笑って聡彦の髪を撫でる。
子供みたいだな、やっぱり…聡彦は眠ってる時が一番可愛い。

「ん…?菜恵?」
私が彼の頭に触れているのに気が付いて、しょぼしょぼと目を開ける。
「おはよ、まだ6時半だよ。もう一回寝たら?」
体内時計がセットされているみたいで、私達は7時前に目が覚めてしまった。
聡彦も一瞬自分が裸で、私も同じ状態なんだというのを確認してちょっと戸惑っている。
「下着もつけてない…」
「そうなの。シャワーも浴びなおさないで寝たみたいなの」
少し起き上がって、体についた汗を流そうと布団をめくる。
「……」
自分の初体験の跡が生々しく残されていて、一瞬目の前がクラッとするのを感じた。
意識してなかったけど、体を動かしたら軽く下半身がだるくて痛い気がする。

「ごめん、昨日…痛かったよな」
聡彦が同じものを見て私にそう謝った。
「何で謝るの?私も望んだ事だし、最初はしょうがないよね」
「…あのさ」
「ん?」
「一緒に…風呂に入っていい?」
今までお互い別々に入っていたお風呂に、聡彦が一緒に入りたいと言った。
今日の彼は何だか甘えている感じがして、私は「いいよ」と笑って答えた。

急いで入れたお湯の中に綺麗に洗った体を沈めて、ちょっと一息。
後から入って来た聡彦の体を直視するのは気が引けたけど、いつ鍛えてるんだろうっていうほどバランスのいい体をしていて、改めて綺麗な体をしているなあと思ったりした。
「聡彦って何かスポーツやってたの?」
シャワーで頭をガシガシ洗っている彼にそう聞く。
「ん?うん、高校までは水泳やってたけど…何で」
そうか、結構真剣にやったんだろうな。
それじゃないと、こんなに体は作られない。
「いい体だなって思って」
ザバーっとお湯を頭からかぶり、聡彦が湯船に入ってきた。
「俺の体…いい?」
そんな事真顔で聞かれても、急に恥ずかしくなるじゃん。
私は自分が余計な事を言ったんだと思って体の向きを変えた。
一緒にお風呂に入るなんて初めてで、二人ともなんとなく照れている感じだ。

「菜恵は…やっぱりフワフワのマシュマロみたいだよな」
聡彦の手がお湯の中で私の体を捕らえる。
何も特別な刺激は与えられてないんだけど、二人の体がものすごく近い事が意識されて、朝だっていうのに変な気分になってくる。
「もう一回する?」
「え…?」
振り返りざま、聡彦の唇が私の唇をとらえ、言葉なんか全部呑み込んでしまうほど強いキスをされた。

何度となくキスを繰り返すうちに体がまた熱くなってしまい、私達は濡れた体をふいて新しいシーツにした布団の上で温まった体を抱きしめあった。

「痛いだろうから、最後まではしないよ。菜恵の体をもう少し感じさせて」
「…うん」
どこで覚えるのかなあと不思議なんだけれど、聡彦の口と手から送られる愛撫は正直言葉に出来ないほど気持ちがいい。
胸と唇を何度もキスされ、どんどんいやらしい気持ちが芽生えてくる。
「こんな事言ったらどう思われるか分からないけど…他の男にこの体を触れさせたら、俺、多分正気じゃなくなると思う」
聡彦はそう言って、熱っぽい眼差しを私に向けた。

浮気の心配…。

聡彦はなかなか上手に口に出せないでいるけど、如月さんと私の関係を随分深刻に心配してるみたいだった。

「聡彦だけ。あなただけだよ…私の肌に触れられるのは。思いきり抱きしめて」

恋には終わりがある。
だから、こうやって肌を合わせていても、心は必ず変化してゆくのも忘れてはならない。
でもね…あなたは分からないだろうけど、聡彦を恋しく思う気持ちは私の中でだってずっと大きくなってるんだよ?

きっとこの気持ちを大事にしていれば「愛」っていう素敵な感情に変わるんじゃないかな。

「愛の言葉をささやくと、それ以上の気持ちを表せなくなる気がして。だから口にしないんだ。つまり、俺の気持ちはそれ以上だって事なんだよ…分かって」

私が常日頃感じていた聡彦の本当の気持ち。
どうして「好きだよ」「愛してるよ」って言ってくれないんだろう…っていう気持ち。
彼はそれを何となく察知していたみたいだ。

「分かってるよ、聡彦が私を大事にしてくれてるって。昨日の夜にそれがすごく良く分かった。聡彦が素敵過ぎるから…心配になってただけ」
私も普段はなかなか言えない言葉を口にして彼のキスに積極的に答えた。

「菜恵…!」

痛いからしないって言ってたのに、聡彦はやっぱり我慢出来ないと言って、もう一度私を優しく甘く貫いた。
昨日と同じぐらい痛みはあったけど…何となく体の奥にむずむずするような快感が伴っていて、ちょっと戸惑う。この感覚が続いたら、どれぐらい大きな快感に繋がっているのか分からなかったけれど、結局その感覚の途中で聡彦が最後の瞬間をむかえたようだった。
大きく呼吸をしながら私をこれでもかというほど強い力で抱きしめる。

「…聡彦が言えないなら、私が言ってあげる。愛してる…愛してるよ、聡彦」

言葉はすりきれてしまうなんて事は無いよね。
私は何度でも言うよ、「大好き」って。
「愛してるよ」…って。

おまけ LOVE MORE END


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